『YTJスタッフインタビュー vol.1』を公開!

投稿日:
2022-04-04
更新日:
2023-03-28
インタビュー
レッスン
PKレッスン見学会
成長
演劇教育

2022年3月22日(火)~3月28日(月)の7日間、キッズメンバー(年中・年長)が対象の「PKレッスン見学会※」が実施されました。

このプロジェクトマネージャーであるサントス ジェシカさんにPKレッスン見学会の魅力を聞いてみました。

※PKメンバー(年中、年長さんメンバー)を対象にした成果発表会のこと。

まずは、かんたんな自己紹介をお願いします。

みなさん、こんにちは。Santos Jessica (サントス ジェシカ)です。わたしはブラジルで生まれ、中学生のときから日本で過ごし、英語科のある高校に通いました。

その後、英語に磨きをかけるために、オーストラリアの大学へ留学。卒業後は、ブラジルの動画制作会社で勤務しました。この勤務経験から、エンターテイメントにかかわりたいと思うようになったんです。そんななか、YTJの理念に深く共感して、今に至ります。現在は、スタジオマネージャーとしてスタジオ管理をしながら、プロジェクトの管理もしており、担当は英語指導です。キッズメンバーからは「ジェシカさん」と呼ばれています!

YTJのキッズメンバーの活動方針を教えてください。

日々の活動や舞台を通して、社会で生きていく上で必要なスキルを身につけさせることです。

YTJはミュージカル劇団なので、キッズメンバーたちが舞台を目指していけるように、サポートしています。子どもたちが「舞台って楽しいな」、「今日は上手に歌えたぞ」、と感じられるよう、まずは、歌やダンス、英語に自信を持ってもらう、楽しんでもらうことをメインに指導をしています。

自主性を重んじ、自ら率先して動ける子になれるように、わたしたちスタッフは日々サポートを心がけているんです。レッスンを通じて、子どもたちは社会性を身につけ、人として成長してほしい、とYTJでは考えています。

PKレッスン見学会はどんな場所で開催しているのですか?

子どもたちがいつも使っているレッスンスタジオです。特別感を演出するために、スタジオを設営して、お客さまの席を作っています。飾り付けなどの設営もしているので、子どもたちは見慣れたスタジオが様変わりしていることに目を輝かせてワクワク。

どうしても大きなホールだと、環境(規模や床の材質など)が変わって緊張する子もいると思いますが、PKレッスン見学会は、慣れたスタジオでの開催なので、緊張している子は少なく、「早くパパとママに披露したい!」とテンションマックスな子たちがいっぱいいるほど。ちなみにこの設営は、PKレッスン見学会のテーマごとに異なります。昨年(2021年)の年末は、「クリスマス」がテーマだったのですが、スタジオにツリーがあって子どもたちはもう大喜びです! このときは、飾り付けを手伝ってくれました。

この春にも開催されたPKレッスン見学会。どんなテーマで実施されたのか、教えてください。

今回のテーマは「EASTER BUNNY WANTS YOUR HELP」です。イースターが題材になっています。

子どもたちは、イースターというイベントにあまりなじみがないように感じますが…。説明はあるのでしょうか。

はい、おそらく練習前までは、イースターについて知らない子がほとんどかもしれません(笑)。

レッスン見学会の台本にある英語のセリフから、会話形式でイースターがどんなものなのかを、学べるようになっています。そのため、学校の授業のように、イスに座ってお勉強するのではなく、セリフを通じて楽しみながら異文化を学べるように台本を工夫しています。

PKレッスン見学会のテーマは毎回変わるのですか?

はい、変わります。まったく同じ内容のレッスン見学会はありません。メンバーたちにより多くの教育や異文化に触れさせたい、という考えから毎回異なるテーマで実施していま

す。

ただし、1年を通じてハロウィンシーズンのPKレッスン見学会はちょっと特別で、こちらは、子どもたちが仮装をして楽しむイベントです。子どもたちが楽しみにしているイベントなので、秋シーズンのみテーマを固定しています。

PKレッスン見学会を通じて、子どもたちはどんな変化がありましたか?

それはもう、たくさんの変化があります!これは、おとなが目を見張るような成長で、わたしもびっくりするほどです。例を挙げたらキリがありませんが、まず子どもたちは、自分で考えて動けるようになってきます。

わたしが「これは3週間はかかるだろうな」と思っていたレッスン内容が、たったの1週間でできてしまったことも!子どもたちはいい意味で、わたしたちおとなの常識を覆してくれます。そういう意味では、本当にやりがいがあり、小さな子たちからも刺激をもらえる仕事です。

どうしても年中さんや年長さんは幼いので、保護者の方から離れたくなくて、スタジオに来るなり、ワー! と号泣してしまう子もいるんです…。しかし、そんな子でも、わたしたちが子どものことを信じて見守っていくことで、徐々に慣れていきます。あんなに泣いていたのに、今ではすごく元気にスタジオに来るようになった子もたくさんいます。

また、PKレッスン見学会を通じて、子どもたちはお互いをサポートし合えるようにもなりました。レッスン見学会で緊張してしまって、言葉に詰まってしまう子がいると、隣の子が「〇〇だよ!」と助け船を出すのです。このようなチームとしての絆がレッスン見学会を通じて、できあがってきます。

人生、ひとりでは生きていけません。助けるときもあれば、助けられるときもあります。努力をすること、仲間を助けることなど、生きる上で大切なことをYTJで学んでほしい、というわたしたちの強い思いがそこにはあるんです。

PKレッスン見学会を通じて、子どもたちが大きく成長し、わたしたちの思いに応えてくれて、とても嬉しいです。

子どもたちの英語、ダンス、歌のスキルに差はありますか?

子どもたちの秘めた可能性に差はないと考えています。指導している側としては、たしかに「その日うまくできた子」と「そうでない子」が存在します。しかし、子どもは可能性をいくらでも秘めていて、そこに差はないんです。

うまくできなかった子に対しては、「どうしてできなかったのか」を考えさせることが大切です。練習してきていない子がいれば、「練習したらもっと上手になるんじゃないかな?」と声をかけ、自主的に練習ができるようにサポートしています。

もしも、「これ無理!できない!」と言う子がいれば、「どうしてできないと思うの?」と子どもに聞くようにしています。「やってみないでできないと思うんじゃなくて、まずはやってみようよ!」と子どもの気持ちを盛り上げていくと、わたしを信じてついてきてくれるんです。この無限に広がる可能性を、自身で気が付いてほしいなと思っています。

自主性を重んじているYTJの教育ですが、子どもたち同士で教え合うことはありますか?

はい、あります。PKレッスン見学会に向けた練習では、徐々にスタッフの介入が少なくなっていきます。すると、子どもたちは相談し合い、お互い声を掛け合ってサポートするようになります。

そもそも幼い子どもたちなので、打ち解けるのも早く、みんなとっても仲良しなのですが、レッスン見学会を通じて、絆がより強いものに。この子はダンスが得意、この子は歌が得意、この子は英語が得意、といったように、分野ごとに得意な子がいるので、「ここはこうするんだよ」と、お友だちに教える姿もよく見か

けるようになりました。自分で考えて行動ができるようになってきています。

また、PKレッスン見学会を通じて、保護者の方たちの絆も強まっています。わたしが担当しているスタジオでは、保護者の方同士も仲が深まり、楽しそうにおしゃべりをしている姿をよく見かけますし、送迎の協力をしている保護者の方たちもいるほどです。

キッズメンバー同士、保護者同士の絆が深まっているのですね。では、ジェシカさんとメンバーたち、ジェシカさんと保護者の方たちとの絆はどうでしょうか。

はい、とても深まってきています。まず、子どもたちの上達のためには、わたしたち指導者のことを信じてもらう必要があります。信じられない人には、さすがについていけないですものね(笑)

でも、子どもたちに信じてもらうには、まずわたしたちが彼らのことを信じる必要があります。「こんなこと、どうせできないだろうな」と、心の片隅で思いながら指導をしていると、子どもたちはついてきてくれないんです。そのため、わたしたちが子どもたちを信じるところから始めています。

正直なことを言うと、YTJキッズのレッスン内容は、年中さん、年長さんにはやや難しく感じる部分もあります…。しかし、必ずメンバーたちは応えてくれます。彼らなりに努力をして、できるようにきちんと仕上げてくるんです。

保護者の方たちとの絆も同様で、わたしたちが保護者の方たちを信じないからには、信じてもらえません。YTJは、お互いを信じあえる関係をとても大切にしています。

自主性を重んじる方針についてはわかりましたが、ダンスのスキル向上はそこまで重視していないのですか?

重視していないわけではもちろんありません。しかし、最優先しているのは自主性、協調性、社会性の獲得。つまり、子どもたちの内面の成長です。内面の成長と、ダンス・歌・英語のスキルは密接に関係しています。自主性が生まれれば、自然とスキル向上するんです。

たとえば、「わたし、ここが苦手だからもっとおうちで練習しよう」と思ってくれるようになれば、スキルアップします。「あなたはここが苦手だからちゃんとやりなさい!」、「どうしてできないの? もっと練習して!」という指導方法は取っていません。「どうして苦手なのか考えてみよう」、「練習したらもっと上手になるよ」と誘導するんです。可能な限り本人たち自ら動くようにさせています。

実際に、スキップすらできなかったのに、2ステップを踏めるようになった子、前よりも早く振り付けを覚えられるようになった子など、大きな上達が見られます。子どもたちに「答えを渡す」のではなく、「答えを見つけさせる」、そのサポートをしているというイメージです。

PKレッスン見学会の運営に携わってきて、忘れられないできごと、嬉しかったことはありましたか? あれば教えてください。

はい、たくさんあります!以前、年中さんのメンバーで、どうしてもママから離れられない子がいました。スタジオに来るとそれはもう大号泣で…。スタジオに入ることすら嫌がるときもあったんです。その子にとっては2時間のレッスンすら辛く感じたことでしょう。レッスンの日は、「やってみると楽しいかもしれないよ」とわたしは声をかけていました。

しかし、本人の負担などを考え、保護者の方に「一度休会してみるのはどうでしょう?」と休会を提案してみたんです。これはちょっと賭けもありましたね(笑) でも、きっと戻ってきてくれるだろう、と信じていた部分もありました。

そして休会後、その子がスタジオに復帰してくれたんです! あんなに泣いていないのに、どうして戻ってきたのか、と聞いたところ、「ジェシカさんがいつもレッスンの前に声をかけてくれていたけど、お休み中はそれを聞けなくなっちゃったから…」と。これにはもう、嬉しくて嬉しくて…。子どもを信じてよかったと思った出来事です。

あと、街を歩いていて「あー! ジェシカさんだ!」と、かつての教え子に声をかけてもらうときは、とっても嬉しいです。わたしのなかで、子どもたちは年中さん・年長さんの記憶。だから久しぶりに会って、素敵なお兄ちゃん・お姉ちゃんに成長していることにびっくりです。えー、こんなに大きくなったの!って(笑)

それと同時に、大きくなっても、わたしのことを覚えていてくれたことに、喜びを感じます。

子どもたちの成長のお手伝いをさせてもらうお仕事です。少しでも記憶に残ってもらえるのなら、これほどありがたいことはないですね。

保護者の方から言われて嬉しかったことも、いっぱいあるんです。「ジェシカさんを信じてよかった」と言われたときは、とっても嬉しいです。保護者さんによっては、「こ

んなのうちの子には無理です」とおっしゃることがあります。でも、それはやってみないとわかりません。そんなときは、「わたしたちを信じてください!」とお伝えしています。その後、見学会にいらした保護者さんから「信じてよかった」と言われたときは、本当にやってきてよかったという気持ちになりました。

PKレッスン見学会や、日々のレッスンを通じて、こんな子になってほしいというのはありますか?

自主性を重んじているので、社会の一員としてのスキルが身に付いた子に育ってほしいです。具体的に言うと、話している人の目を見る、人の話を聞く、努力をする、わからないことがあれば質問すること。とても基本的なことですが、これらが当たり前のようにできる子になってほしいと考えています。

ちなみに、YTJには「3秒ルール」というものがあって、3秒以内にアクションをするように指導しています。たとえば、「水分補給をしましょう」と言われたら、ダラダラと動いたり、ボーっとしたりするのではなく、3秒以内に動き出すということです。もちろん時間内に飲み終わりなさい! といったスパルタ的なのではないですよ(笑)

メリハリを持って動けるようになってほしい、という気持ちからのルールです。

最後にPKレッスン見学会を直前にした子どもたちの様子を教えてください。

ドキドキしている子もいれば、早く披露したくてしかたがない子、ワクワクしている子などさまざまです。実はクラスによっても、仕上がりや状態は大きく異なるんです。もうほぼ子どもたちはセリフなどを覚え込んで、あとは完成度を上げていくだけのクラスもあれば、まだまだ振り付けやセリフなどが覚えきれていないクラスも…。

さらに、本番前の仕上がりはよかったのに、当日でミスが出てしまったクラスもあれば、「こんな状態で大丈夫?」と心配するようなクラスが大成功を収めることもあるんです。

本番って何があるかわかりません。そういうところもYTJで経験してほしいと思っています。

一時間以上のインタビューで感じたのは、サントスさんの笑顔。終始楽しそうにイキイキと話してくれました。子どもたちと真正面から向き合い、仕事を全力で楽しんでいる姿が目に浮かぶようでした。

サントス ジェシカさん、ありがとうございました!