”仲間と表現する楽しさを伝えたい” 新劇団代表が語る、これまでの歩みと未来

2023-01-06
劇団代表
インタビュー

YTJの新たに就任したグレゴリー劇団代表に、来日した経緯からYTJでの活動に至るまで、また今後の取り組みについて話を伺いました。

YTJでこれまでどのような仕事をしてきましたか?

2019年9月に入社して、メインの仕事はスタジオスタッフで歌や英語、演技のレッスンでした。しばらくして、ミュージカルの制作に関わるようになり「wordplay」のプロジェクトマネージャーになったんです。それから徐々に「wordplay」企画や制作の仕事が中心となっていきました。

いまでも、メインはレッスンで取り組むコンテンツの作成やイベントの企画。時々レッスンやリハーサルにも入って、作ったコンテンツが実際のレッスンでおこなった場合どのようになるのかの確認も行います。 昨年からは「English Vocal Election vol.Ⅶ~全国英語歌唱コンクール~(以下EVE)」のプロジェクトも担当になりました。

日本に来た経緯は?

すごくシンプルにいうと、日本が好きで、好きな仕事に出会って、生まれ育った国とは別の国に住んでみたかったからです。9歳から2年間、両親の仕事の都合で神戸に住んでいました。その経験があったので、大学で母国語以外の言語の授業を受講する時に、日本語を選択してみようかな、と。幸運にも、その先生の教え方が上手で、授業が面白くてずっと勉強を続けていたので、次は留学生として行ってみたくなって。

実際日本に来てみると、自分に合っているなと感じました。そうすると今度は社会人として日本に戻ってきたくなったんです(笑)。そのあとYTJに入るまでは、神戸市の中学校で英語講師として勤務していました。本当に、色んな経験の積み重ねがあって、日本に住むことになりましたね。

ただ、日本に来た理由はそれだけではなくて、生まれ育った国以外の文化や人と出会い、多様性を広げるチャンスが日本ならもっとあるんじゃないかと考えたからです。

どうして「多様性をひろげたい」との理由で、日本を選んだんですか?

宗教活動家バハオラの「世界はひとつの国であり、人民はその市民である」といった言葉が好きなんです。これまでの経験を通して、世の中にはあらゆる価値観や文化、さらには宗教、国籍、性別の壁があることを知り、その困難を乗り越えることに意味があるんじゃないかと気づきました。

確かに様々な国がありますが、改めて考えてみると、日本が特別な国だったからかも。幼少期に日本に住んで、日本語の授業も楽しくて、幾度となく日本を知る機会があったから来ることができた。このことは、今でもとても感謝しています。

アメリカと日本の文化の違いは?

日本のことで、最初に「いいな!」と思ったのは、周りの人への思いやり、自分のことよりも相手を思う優しさや謙虚さですかね。アメリカにもないわけではないですが、どちらかというと個人主義が強いかな。上手に個性は発揮するけど、場合によってはわがままにみられたり、相手にとって失礼になることもある。

日本は周りの目を気にして個性を十分に出せないこともありますが、言動が周りにどのような影響を与えるか意識していることが素晴らしい!

そこは、表裏一体ですよね。双方の文化を体感した経験は、YTJの活動にどのように活かされていますか?

とてもいい質問ですが、これに対する完璧な答えはないですね…。これまでのすべての経験が、YTJの教育活動につながっていると思います。

日本の学校で英語教師をしていた時、子どもたちのなかには英語には興味がなくても、表現力豊かな子や運動神経の良い子がいたんです。きっとその子たちには舞台活動が合うと感じたんですが、それをする機会がなくて。

だからこそYTJに入社して、舞台活動を通じて子どもたちに成長できるチャンスを与える仕事をしているのが、すごく嬉しい。何よりも、多くの子どもたちに、自己表現する場を提供したい思いが根底にあるんです。メンバーにも、あらゆる違いをバランスよく受け入れることが必要だということを伝えたい。この社会では、みんな違っていて当たり前。とにかく、一つの価値観に偏らないことですね。

代表就任をうけて、どのようなお声がけがあったんですか?その時の想いは?

上司との面談の際に、このお話を伺いました。初めはワクワクしていたんですが、前任はYTJの代表取締役でもあり、創立者でもある植木さん。それを考えると「僕で大丈夫かな」と思いました。ただもう一度話す機会があった際に、”劇団代表”としての役割を担ってほしい、と仰ってくださって。

つまりYTJの良さや理念を多くの方に提示することが任務だと分かって、すごくストンと腑に落ちたというか。これらを普及していく仕事は、やりたいことのひとつだったので、適任だと思っていただけたなら光栄なことだと思い、引き受けました。これは個人的な価値観ですが「人に奉仕すること」が人生の目的なんです。奉仕というと、ボランティア活動や寄付もありますが、毎日の行動や仕事であっても”他人に影響を与える”ことがありますよね。

そのなかでも、特に大事だと考えているのが、子どもたちの存在。彼らがこれからの未来を創っていくので、子どもの教育に貢献したい。劇団代表としてはまだまだこれからですが、与えていただいた任務を全うすることが、ひとつの奉仕になると考えています。

グレゴリーさんが考える、YTJの強みは?

YTJは単なるダンススクールや英会話教室ではなく、子供たちが舞台活動を通して、人生において必要となる価値観(リーダーシップ、多様性など)を学べる場所。レッスンや舞台、コンテンツ活動を通し、自らの体と声を使って表現をすることで、それらを自然と学んでいくことが出来ます。YTJで大切にしている理念には、他にも創造性を発揮する、失敗を責めないなどがありますが、何よりもこれがYTJの強み。どれも人として大切にしたい素敵なことばかりで、個人的にも共感します。

あとはYTJが新たなことに常にチャレンジし続けていることも、大事なこと。現状を打破したり、問題を解決するためには、今目の前にある以上のことに挑戦したほうがいいときもあって。YTJを創られた植木さんもだと思いますが、求められる以上のことを実践していきたいと思っているはずなので、これからも色んなことにチャレンジしたいですね。

YTJの活動において一番良いところは?

YTJの活動のなかで、一人ではなく仲間たちと一緒に表現するのを大切にしていることが良いなと僕自身は感じています。舞台、ダンス、歌、英語を学ぶことで自己表現ができる。それを皆と一緒にすることは、よりいっそう学ぶことも多く、充実したものになります。皆生きていれば、乗り越えなければいけない壁や、困難に立ち向かうことがありますよね。その時、ネガティブな気持ちになることも、解決するためのアイデアを模索することもあると思います。

その思いやアイデアは、思いやりをもった言葉で表現したほうがいい。なぜなら、それを受け取る相手からしてみれば、強い印象を残してしまったり、負担に感じてしまう可能性があるからです。どのように自分の気持ちを表現するか、アイデアを伝えるか、相手はどのように感じるかを考えることも、人としてすごく重要。YTJの活動でメンバー同士、スタッフ、保護者の方と協力し、日々学ぶことに意味があるのではないでしょうか。

YTJの活動でメンバーと関わる際に、心がけていることは?

メンバーの声に優しく耳を傾けながら、舞台を成立させるために必要な準備をしていくので、その両方を上手く取り入れながら進行することですね。メンバーはどの役がいいか、どう表現するのがいいかを考え、スタッフと話す機会があるので、自ら考えて、表現するチャンスがあります。ただ、スタッフによるキャストオーディションや演出があります。それに、もし多数の意見が出て、時間内に決まらなければ本番の舞台が成立しないこともあるので、すべてのことがメンバーの通りにはならないこともあります。

物事を進めていくためには、意見を言うことも、周囲の人間が決めることも必要で。メンバーにも学んでいって欲しいことの一つでもありますし、プロジェクトを進行するスタッフとしては大切にしていることです。今回のクールでいうとEVEで歌う英語の課題曲をメンバーで話し合って決めます。EVEはYTJが主催する英語の歌のコンクールなので、そこでメンバーが歌う曲の候補を、まずスタッフがいくつか提示します。その後出場する各クラスごとに、チームでどの曲を歌いたいかをメンバー同士で話し合い、スタッフとも相談しながら選びます。

メンバーそれぞれが楽しみつつ、チームをまとめるために、工夫していることは?

レッスンによってメリハリをつけることかな。メンバーはそれぞれに得意なこと、やっていて楽しいことがあると思いますが、最終的にはコンテンツを完成させなければならない。YTJスタッフとしてレッスンでやらなければならないことはありつつも、メンバーの気持ち「上手くできるのがうれしい!」「ステップアップできるのが楽しい!」を大切にして、メンバーが充実して活動できる環境づくりを心がけています。

YTJは教育とエンターテインメントを大切にしている団体です。プロの世界だったら、エンターテインメント性を重視しているので、もし求められていることが出来ない、振付が出来ていないとなるとキャストから外れたり、そのシーンがカットになる可能性もあって。

ただ、YTJはたとえメンバーができないことがあっても、”メンバーの可能性”を大切にしています。今できていなくても、続けて成長できるよう頑張ってみようね、と声をかけますし、もしメンバーが成長したい、続けてみたいと思うなら継続することができます。これはレッスンだけではなく日常生活にも通じる話です。

もし、今困難な状況にあったとしても、いつかは夢が実現したり、素晴らしい経験が待っているかもしれないと信じて、人生を歩んでほしいから。子供たちは、人生で色んなことを学んでいる最中。ましてや舞台活動においてなら、プロでないのは当然です。ベストを尽くすことも大事ですが、すべてがうまくいくとは限りません。 自分を成長させるための経験として、メンバーにはまずはやってみよう!と伝えたいです。

スキルだけを重要視しているわけでなく、皆で作品を創ろうとする過程が素晴らしいですね。YTJの教育コンセプトのひとつである「パートナーシップ」を実現するために、どのようにレッスンに取り組んでいますか?

たとえ立場が違ったとしても、お互いから学ぶことがあるのを意識しながら、メンバーと関わることですね。僕は知っていてもメンバーが知らないこと、逆もたくさんあります。一度、中学生のクラスで絵や写真をみせてストーリーを想像するレッスンをしました。想像もしていなかったストーリーが出てきたりして。そのまま作品にも取り入れたりしましたね。

「wordplay」でも、内容としては細かいことかもしれませんが、メンバーが表現することに関していえば、セリフの言い回しにメンバーのアイデアも取り入れるようにしています。それぞれの立場上、制限されてしまう部分もあるとは思いますが、メンバーから学ぶ姿勢を常に心がけています。

同じキャラクターでも、メンバーによってキャラクターの個性が変化しますよね?

ほんとうに、そうなんです!基本的には事前にスタッフがキャラクターのコンセプトを考えるんですが、「wordplay」プロジェクトの時、あるスタッフからの報告で、キャラクターについて相談されたんです。Bは「Bond=絆」を表すキャラクターですが、Bondの意味から考えると「寄り添うこと」もあれば「くっついて引っ張る」との意味もあると。「Bond=絆」から違う解釈が2つでてきたけれど、どちらも合っているし、すごく良い!と思い、両方役のイメージに取り入れました。キャラクターの演じ方や雰囲気も違いますが、とても良かったです。

劇団代表就任をうけて、どんな劇団にしていきたいと考えていますか?

まず一つは、YTJの良さ、活動の素晴らしさを多くの人に伝えたいです。 特にコロナ禍になってから、子供にはどのような習い事ができるか、何をすれば健康的に過ごせるかを、あらゆるご家庭で考えることがあったと思うんです。誰しもが、健康、安全、教育の正しいバランスを改めて考え直したのではないでしょうか。

YTJではコロナになってから、e-Theatreを提供することになりました。そこで、オンラインでもコンテンツを楽しめるようになったことで、以前よりあらゆる方法で多くの方にサービスを提示できるようになってきたと思います。コロナという試練が立ちはだかったことで、我々の活動について改めて考え、試行錯誤してきました。これらをふまえたうえで、より多くの人に伝えていきたい気持ちがあります。

もう一つは、基本理念に書かれていることを、実際の活動で実現していきたい。 現在EVEのプロジェクトにかかわっていますが、チームワーク、多様性などをコンテスト形式とどのように折り合いをつけるかを考えています。選挙という意味合いを強めて、競争というよりかはコミュニティのなかでの多様性や、創造性を評価するほうが、YTJらしいと感じています。このように、今後も活動していくなかで、YTJの活動がより理念を反映したものにできないかを皆で話し合っていく予定です。

最後に、メンバーや保護者の方へメッセージを!

YTJがここまで活動をつづけてこられたのは、メンバーの努力、保護者の方々の協力のおかげだと思っています。YTJは知らない大人たちだけが作っているのではなくて、皆がいま行っていること。メンバーのレッスン、公演がYTJを支えているので、たとえ僕が劇団代表だとしても、一人だけで実現できることはありません。皆のために、皆にとってのいい代表でいることが僕の仕事ですが、一緒にYTJを作っていく気持ちで、より多くの人にYTJの活動を広めていくことを目指していきたいです!